声と三角比。

 話そうと思えばいくらでも長くなりそうな話であるが、端的に書けば、普通の感覚では音声技術と三角比はそう簡単には結びつかないらしい。音声認識音声合成の性能が上がって広く使われ始めて数年経つが(使われ始めているよね?)、そこに三角比やら積分やら確率が使われていることはどうやら思いもよらないようである。
 そこで、何か声と三角比に関する簡単な説明でも書こうかなあと思ったのであるが、これが意外と難しい。三角比がなぜ声に関係してくるのかということを説明するのにものすごい数の文字と数式とグラフが必要になり、そんな長い説明は普通は読まないのだった。
 やはりそういうことは半ば強制的に勉強させられる高校や大学でなければ、なかなか学ぶモチベーションは保てない。昨今、学校のありようやスタンスも多様化し始めているようであるが、やはり昔ながらのカリキュラムと座学は重要である。理解できなかったけど習った憶えはある、というのと、聞いたことすらない、とではかなり違う。
 かといって音声技術の分野にどんどん新規参入してきてほしいかというとそんなことはなく、私としては今までどおりの参入数がいい。音声技術の話ではないが、今、ネットの言論空間(論壇)がひどいことになっており、それは誰でも気軽に参入できてしまったからではないかと思う。論壇にいた人たちがミニブログまで下りてきたことも要因となっているのだろう。ある特定の分野への参入のハードルの高さはやはり必要なのだろう。