光秀

 現在放映中の大河ドラマの主人公は、明智光秀である。放映前までは、光秀のことを日本史の中でもかなりのチョイ役だと思っていた。信長を唐突に裏切って、そしてぱっと姿を消すという、到底主人公になりえない存在だと思っていた。一年間も話がもつのかなあとか思ってほとんどドラマに期待していなかった。
 ところが、大河としてとても面白い。主人公の明智光秀は、ものすごくまじめな男として描かれている。一方の信長は非常に憎たらしい横暴な人物となっている。まじめな光秀は信長に忠義を果たすのであるが、毎回見事に信長に虐げられる。その横暴ぶりは回を追うごとに酷くなり、周りの人物もなんとかせねばと考え始め、ついには光秀も裏切りを考え始める。光秀の裏切りに説得力がある。
 というところで前回が終わり、とうとう今度の日曜日で最終回となる(緊急事態宣言などにより12月で終われなかった)。このドラマ、一番の見どころは信長役の方の演技力である。脚本として破綻していそうなふるまいを見事に成立させ、非常に憎々しい信長像を作り上げている。
 日曜日にどのような演技を見せてくれるのか、非常に楽しみである。